※中国女子のショッピング事情について、上海で会社経営をされている坪井与枝さんにレポートいただきました。

近年、職場での活躍が目覚ましい中国女子たち。自分の意見をしっかり持っていますし、高い経済力も持ち合わせています。
そんな中国ミレニアル女子たちは、どこでどんなふうにショッピングを楽しんでいるのでしょうか。日本にはないトレンドなどは存在するのでしょうか?
この記事では、「IT大国」中国に住む彼女たちの、情報収集から買い物に至るまでの流れをご紹介します。

1)買い物はオンラインで済ませるのが基本

2017年に実施された中国人のショッピングの特徴に関する調査によると、中国人の消費行動の大半はオンラインショッピングで完結しています。
オンラインショッピングの主要なプラットフォームとしては、「タオバオ」と「天猫」という2つのECモールが75%を占めています。以下、京東(14%)、苏宁易购(2.4%)、唯品会(1.8%)と続いています。

オンライン化が進む理由は、安さと便利さ

実店舗の場合、マージンや家賃の高騰に伴い、経営コストを商品価格に上乗せされていることもあり、一般の個人消費者は実店舗の商品を買うメリットを感じることができません。
また、近年は「天猫国際」などの越境EC(税率が優遇された海外製品が購入できるプラットフォーム)が現れたこともあり、ショッピングのオンライン化がさらに促進されています。

中国の女子たちは、高額なブランド品から化粧品、子供の食品、日用品に至るまで、輸入商品を国産品よりも信頼しています。そのため以前は、個人が海外で商品を代理購入して販売するような「代购」サービスが大きく発展していました。

この手法は、許可がないものは違法行為に当たりますので、国からの取り締まりもあって、ここ3年程度で落ち込んでいます。「天猫国際」のような越境ECの出現や、越境ECに対する保税区の設置などによって、「代购」事業は今後さらに減少すると考えられています。

リアル店舗は「体験」がキーワードに

一方、実店舗の現状ですが、都心部を中心に百貨店人気は低迷しています。総合ショッピングモールのほか、体験重視型、アート特化型、いわゆる「インスタ映え」のようなフォトジェニック型など、「コンセプトモール」に人気が集まっています。
「モノ」「物販」よりも「体験」に焦点を当てた施設が伸びてきており、特徴のあるレストラン、AR・VR、映画をはじめ、実際に足を運んで体験できるものが集客のカギとなっています。

▽上海にあるアートを建物全体に散りばめた商業施設。地下に美術館もあり。

2)情報収集から買い物への流れ

このように、オンラインショッピングが当たり前の環境にいる中国女子たち。どのように情報を収集し、買い物をしているのでしょうか?

①微博→ECモール

微博(Weibo、https://www.weibo.com/jp)は、Twitterと類似したSNSで、4億人近いユーザー数を誇ります(2017年12月時点)。ショッピング情報だけでなく、トレンド情報も多数含まれています。
ニュース、世界各国の話題、アイドル、娯楽、ファッション、飲食店、「网红」(インフルエンサー)などの多様な情報が見つかるため、Google検索のような感覚で、微博で検索を行います。

各企業は、自社の公式アカウントで商品の紹介やキャンペーン、「网红」を起用したプロモーションなどを行います。中国女子たちは、こういった公式アカウントだけでなく、「网红」などの個人が発信する情報を確認することもよくあります。

▽SK-Ⅱが「网红」を起用した事例。


https://www.weibo.com/1764145893/Gnuo0f5k0

イメージキャラクターに「网红」がインタビューしています。このように、芸能人と「网红」を組み合わせて起用し、ブランドストーリーを伝えるケースも増えています。

▽ローカルの歯磨きブランドが「网红」を起用した事例。


https://www.weibo.com/6053338099/GlvDmvVhG

彼は230万を越えるフォロワーを抱えるおもしろ動画を投稿する「网红」。日本のヒカキンといったところでしょうか!
ショートストーリーの中で商品を紹介するプロモーション手法は、ますます人気を集めています。

微博には売買機能がありません。中国女子たちは微博で得た情報をもとに、タオバオや天猫などのECモールで買い物をしています。

②微信→微商/微店

微信(Weixin、https://wx.qq.com)は、LINEと類似したインスタントメッセンジャーアプリです。
当初は通信機能のみでしたが、現在では各企業が運営する「公式アカウント」や、微信内の友人同士の投稿記事「朋友圈」(=タイムライン)を通して、情報共有できるようになっています。
また、半年前から、企業が「朋友圈」内に広告を出すことが可能になりました。

▽「朋友圈」に出された広告の例。

  

ただ、通信アプリとしてスタートしているため、前述の微博と比べると、情報提供の機能は弱いと思われます。しかし、微信はアプリ内に決済機能があるため、微博よりも圧倒的に買い物に繋がりやすいSNSと言えます。

なお、数年前から、微信内でメルカリのようなCtoCサービス「微商」が始まっています。

これは、個人が自分のアカウント上で物販を行えるもの。イメージとしては、FacebookやLINEのタイムライン上に商品写真を並べて、購入者を待つような感じです。

さらに、企業の公式アカウントでは、「微店」(微信上でのオンラインショップ)の機能が流行。企業によるオンライン直販活動が盛り上がっています。

ちなみに、タオバオなどのECモールでは、ブランドの有無に関係なく多様な商品が扱われているため、

化粧品が欲しい→検索→商品をチェック→良さそうなら購入!

という流れも多いのですが、「微店」は企業の直販になるため、既にある程度企業やブランドを認知している人が、その企業・ブランドの「微店」を狙って訪問する傾向にあります。

③小红书

小红书(https://www.xiaohongshu.com)は、インスタグラムのようなSNSとショッピングサイトの複合体。
あらゆるジャンルのインフルエンサーが発信する情報、写真、動画などを見たうえで、アプリで商品を購入できます。また、個人が小红书で発信して有名になっていくことも可能です。

芸能人を起用し、人気ドラマで広告を出すことで、ユーザーを増やしてきた小红书。今後も急成長が期待できるプラットフォームです。


https://www.xiaohongshu.com/user/profile/58fd96255e87e71f726905f1

この女性は、早くから小红书を利用している芸能人です。商品の紹介がとても詳しく、小红书で人気を集めています。現在は芸能人というよりもインフルエンサーとして認識されています。

なお、小红书での売買活動は、企業側が出店する形式ではなく、小红书がメーカーやメーカーの代理商から仕入れて販売しています。企業はあくまで、芸能人やインフルエンサーを起用したプロモーションを行う立場です。

3)まとめ

このように、中国女子たちは情報入手から購入まで、すべてオンラインで完結させることがほとんどです。
理由としては、オンラインショッピングの安さと便利さが挙げられます。そして、越境ECの整備やさまざまなSNS・アプリの発展などがその背景にあると言えるでしょう。

例えば、最近日本でもCMが流れ、人気が出始めている「抖音」(Tiktok)は、「95後」(1995年以降生まれの人)の間で最近人気が出ている注目のアプリです。


https://www.douyin.com

個人が面白いショートムービーを作成してアップするSNSですが、今後は、抖音も徐々に広告化されていくことが予想されます。
今後も、IT先進国 中国での新しいトレンドやマーケティング手法などレポートしてまいります。

坪井 与枝(Yorie Tsuboi)
2009年、株式会社リクルート・キャリアに入社。営業・事業開発・商品企画に従事。2013年、株式会社リクルートホールディングス上海法人に転籍。副業として「中国人女性向けマーケティングコンサルティング」を行う会社も経営し、2年後に独立。さらに訪日ウエディングフォト事業会社も立ち上げ、現在は日中にて会社経営・事業運営を行う。

 

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